Physical Webとは

Physical Webとはグーグルがアプリを介さず機器とインターネットを連携できる標準規格として2014年10月に発表した新プロジェクトです。
・グーグルのPhysical Webの解説ページ(英語)
・Techcrunchの記事(日本語)
・cnetの記事(日本語)

これに近い技術でアップルのiBeaconがありますがPhysical WebとiBeaconは似ているようでかなり違います。Physical Webを考えたScott Jensonさんの解説の動画をご覧ください。

iBeaconはアップルが「あくまでも自社商品での動作」Map Connectにおける屋内位置観測」「アプリでのみ動作」という思想で考えられたのに対し、グーグルのPhysical Webは「自社製品だけでなくオープンな製品」「IoT(Internet of Things)機器と連動」「ブラウザーだけで簡単に動作」という方向性が動画からも見て取れます。

この動画で概要を説明しているScott JensonさんはグーグルのProduct Designerで元アップルでSystem7等のOSのUIをを担当していた方です。
正式発表の前の2014年の7月にOSCON 2014でScott Jensonさんはインタビューに答えています。
言っている事はグーグル発表のページ及び動画と同じですが、インタビュー内でクロームのチームのScott Jensonさんと紹介してます。
これはグーグルがPhysical WebをAndroid版のクロームの標準機能にする予定でプロジェクトを進めているということを指していると思われます。

Physical Webの仕組み

まず、下記の動画を御覧ください。
スマートフォンがビーコンに近づくと通知センターに周囲に3つのPhysical Webのビーコンがあるということを表示します。
タッチすると一覧が表示され、一覧にはビーコンが発しているHPのURLのタイトルと詳細が一覧表示されており、その一覧をタッチするとブラウザーでホームページへとリンクします。そしてホームページ上でボタンを押すと、自動販売機が動作しています。
この動画では自動販売機をデモにしていますが、今後は専用のアプリを起動・インストールする必要なしにスマートフォンなどを持っているだけでブラウザーを使いレンタカー/おもちゃ/ポスター/バス停などに近づくだけこのように通信ができるようになります。

iBeaconとの違い

iBeaconをご存知で無い方は弊社のこちらのページをごらんください。iBeaconの特長とくらべてのPhysical Webの違いは主に下記の3点です。

1.アプリのインストールが不要
iBeaconはビーコンからUUIDと言われるランダムな英数字とmajor/minorと言われる65535までの数字を発信していますがPhysical WebはURLを発信しています。
iBeaconは専用アプリケーションをインストールしなければ動作しませんが、Physical WebはURLを発信しているので専用アプリケーション無しでブラウザーで動作します。(2015年2月現在ではアプリケーションが必要です。将来的にはAndroidのクロームに含まれる可能性が高いと思われます)
またURLと聞くとホームページをブラウザーで表示させる事のみしかできないように思われますが、ブラウザーからインストール済みのアプリへ情報を送ることができるので一旦ブラウザーを経由しアプリとの連動も可能です。

2.プッシュ通知ができません。
iBeaconは専用アプリケーションをインストールしビーコンに近づくと待機状態でもプッシュ通知をさせることが可能ですがPhysical Webはプッシュ通知ができません。
それはiBeaconはユーザーの任意でアプリをインストールしていますが、Physical Webはインストールしなくても動作する事を想定している為、もしプッシュ通知ができるようになると今後街中にPhysical Webのビーコンが設置されるようになると大量のプッシュ通知がされるようになってしまうからだと思われます。

3.位置検出ができません。
次にiBeaconはアプリ側でビーコンの電波強度を使って簡易的な位置検出ができますがPhysical Webは出来ません。

Physical Web対応のビーコン

グーグルが考えているのはIoT機器との連携と接続ですが、それを行うには機器がインターネットに接続できる仕組みとさらにBluetoothチップをIoT機器に追加し連動する仕組みを作らなければできません。
プロトタイプを作るのであれば下記の動画のようにRaspberry Piなどのボードコンピューターに機器を接続し連動させるのは難しくはないですが、それを量産化し機器の中に埋め込むのは技術的なハードルとコストがかかります。

一般に広めるには簡単に設置できるiBeaconのような単体のビーコンの発売が必須です。
Physical Web用のビーコンは既に海外ではbleshから発売が開始されています。
ただこの会社のビーコンは技適(技術基準適合証明)が取得されていないので日本国内では使用できません。

Physical Web用のビーコンが日本で発売されていない現状で、日本国内でテストを行うにはどうすれば良いのかというとPhysical Web用のビーコンを自作することが可能です。
ビーコンを自作と言ってもBluetoothチップ基板から作成するのはコストが多大にかかるので、技適を取得していてかつファームウェアを書き換える事ができるBluetoothのモジュールのbluegiga社のBLE112やBLE113を使用するのが一番簡単です。BLE113_M_RGB_front

BLE112/BLE113は既に技適を取得しており小型ボード化されているので、このボードに電池などを接続し、CC-DEBUGGERでファームウェアを下記のフォーマットで書き換えればPhysical Web用のビーコンが作れます。uribeacon1

テスト基板を起こすのが面倒なのであればBLE112はメジャーなハードなので下記のようにコイン電池で動作しCC-DEBUGGERで簡単にファームウェアが更新できるような組み込み済みの機器も販売されています。

弊社ではBLE112とほぼ同等でUSB接続でファームウェアの書き換えが簡単なBLED112でPhysical Web用のビーコンを作成しテストしました。テスト動画はいずれ機会があれば掲載したいと思います。
Physical Webの仕組みはiBeaconと同じようにBLEで一定間隔で情報を送信しているのですが、iBeaconとPhysical Webはその一定間隔で送信する情報のフォーマットが違うだけです。なので既存の国内ビーコンメーカーがファームウェアを書き換えるだけで対応できます。

国内最大手のアプリックスの「MyBeacon® Pro 汎用型 MB004」はBLEのチップが2つ内蔵されており、現在では片一方がiBeaconの信号を送信し、もう片一方は「不正アクセス防止や成りすまし防止などの電子認証」などの為に使用しており一般ユーザーは片一方しか使用していません。
Physical Webが一般的になれば1台でiBeaconとPhysical Webの信号を同時に送出するビーコン、若しくは単体で動作するPhysical Web用のビーコンが国内でも販売されることと思われますので、それをお待ちください。もしお急ぎの場合は弊社までお問い合わせください。

最後に

弊社では、このようなPhysical Webの基礎研究を初め、既に先行しているアップルのiBeaconを使ったサービスおよびiBeacon受注制作を承っております。詳しくはこちらのページからお問い合わせください。